- 競合調査・競合分析をしたいけど何からやればいいかわからない。
- 競合調査・競合分析って難しそう。
- 競合調査・競合分析のフレームワークについて知りたい。
これまで本ブログでは、売れる商品はどんな企画書から生まれたのか?や、優れたサービスをつくる方法で、企画やマーケティング、新規事業などに関連する記事を公開してきました。
その他、新規事業に関するオススメ本をまとめた記事なども公開しております。
【新規事業成功への必読本!】新規事業立ち上げに関するおすすめ本まとめ – Don’t Think ACT!
私は本業で新規事業や企画担当をこれまで数年間に渡って行ってきましたが、
どんな企画を立てる時でも、最初の仮説(事業アイデア・企画案など)を考えたあとに、
具体的に「ライバル企業や競合サービスはどこか?具体的にどんな戦略でどのような特徴を持っているのか?」を調査して、検証していくプロセスは実行していました。いわゆる、競合調査・競合分析と言われることです。
今回は、それらを通じて私自身が学ぶことができた、競合調査・競合分析のやり方や目的、手順などについてご紹介します。
本記事に記載している内容は、事業やアイデアの企画立案をする上で基礎・基本となる部分です。
皆さんが新規事業や商品企画をする際の参考になれば幸いです。
こちらの記事もおすすめです。
▼新規事業に関するおすすめ本の記事
【新規事業成功への必読本!】新規事業立ち上げに関するおすすめ本まとめ – Don’t Think ACT!
▼実際に読んで良かったおすすめのビジネス本まとめ
2022年度版 | 新卒から1,000冊 以上の本を読んだ僕のおすすめビジネス本まとめ【若手社会人向け】- Don’t Think ACT!
競合調査・競合分析について
それでは、早速、競合調査・競合分析の具体的な内容について見ていきましょう!
前提
具体的な調査手順に入る前に、まずは、前提条件について確認しておきましょう。
競合調査・競合分析をする際に凄く重要な前提として、
自社の独自商品・サービスづくり、独自戦略づくりをしないと新規事業は成功しない!
ということを覚えておいて頂きたいと思います。
かの古典的名著である『孫氏』においても、
「彼を知り己を知れば百戦殆ふからず。」という有名な台詞があります。
敵の実力や現状を知り、自分自身のことを知っていれば、何度でも勝てるという意味です。
これは、新規事業に限らず、どんな企画やマーケティング施策でも同様です。
自社ならではの戦略・打ち手がなければ、差別化を図ることができず、価格競争に陥ってしまいます。
つまり、自社独自の商品サービス・独自の戦略を見出す事を目的とした、競合調査に取り組まないといけないということです。
また、当然のことですが、競合調査はあくまでも「どのように戦うべきか?」を考えたり判断するための手段なので、それ自体が目的になってしまうと、調査費用や時間などの膨大なコストが無駄になってしまうので、注意してください。
自分も当初はそうでしたが、現場でありがちなのは、
なかなか該当のデータが見つからなくて、本来の目的を忘れてしまうといったケースです。
調査期間が長引いたり、調査に没頭するとどうしても競合を調べること自体が目的になりがちですが、
意識的に「今行っている作業の、本質的な目的は?」と自問することで回避するクセを付けることが重要です。
競合調査の目的
それでは、競合調査の手法や手順を解説していきたいと思いますが、
皆さんは、そもそも何のために競合調査・競合分析を行うのですか?
先程の前提で述べた部分と重複する点も多いですが、
競合分析の目的は、「自社の新規事業の”独自性をどこに見出すか?”の意思決定をするため」に実施します。
言い換えれば、「競合を知ることで、自社が何を行うべきかを判断する材料にするため」です。
目的を踏まえた上で、調べるべき点
競合調査・競合分析の目的は確認できました。
次に、それら目的に留意した上で、どのような点を調べて自社と他社を比較すればよいのでしょうか?
もちろん、業種や業界によって異なりますが、
一般的には、以下の3点の調査項目を調べておけば問題ないと思います。
1.競合他社の商品・サービスの特徴
まずは、競合他社やライバルサービスの特徴を調べます。
その上で、自社が提供するサービスや価値にオリジナリティを見いだせると良いです。
データ元は、IR資料を始めとして、コーポレートサイトやサービスサイトから調査していけば良いと思います。
盛りすぎた特徴を記載している他社も多いと思いますが、参考情報としては活用できるので、漏れなく調べておきましょう。
2.競合が立てている戦略
特徴をざっと把握できたら、次に、競合の戦略を調べます。
戦略については、HPやサービスサイト上ではあまり確認できないと思います。
そこで、IR資料を読み込んだり、代表者のインタビュー記事などを読むと、
経営者の考えや今後の事業展開などの戦略を把握することができると思います。
自分の実体験としては、インタビュー記事は経営者の考えや戦略が言語化されているので、
競合の戦略を知りたい場合には、時間はかかりますが本当におすすめです。
3.競合の強み・弱み
調査項目の3点目は、競合の強みや弱みを把握することです。
強みについては、BtoBの場合はHPやサービスサイトに「選ばれる理由」などの情報が載っているケースが多いので、
それを参考にします。
弱みについては、通常は、自社の弱みを社外にオープン化することはあまりないので、難しいです。
BtoBの場合だと、やはり同業界や顧客からの評判を聞くのが良いかなとおもいます。
BtoCについては、実際に自分でサービスを試して触ることが大切ですね。
BtoB、BtoCともに経験してきて思いますが、
このあたりは、BtoB業界のほうが情報を取得しやすいのでやりやすかったです。
注意点
注意点としては、最終的に「自社の独自性を定量的に比較する必要がある」ため、
数字のデータを集めることは非常に重要です。
但し、数値化することに囚われてしまって、数字に出てこない情報(例えば、戦略や考えなど)を捨ててしまっては意味がないので、
定性情報、定量情報ともにバランス良く調べることがオススメです。
また、Excelなどのテンプレートやフォーマットについてですが、
自分の意見としては特に作成する必要は無いかなと思っています。
というのも、目的や業種、業態によってフォーマットは変わってきますので、
最初の内は、その都度作成を行っていけば問題ないと思います。
競合調査・競合分析のやりかた・手順
これまでに、競合調査の前提や、目的、調査項目などを記載してきました。
それでは、具体的にどのような手順で競合調査・競合分析を行えば良いのでしょうか?
大きく、5つの手順で実施します。
競合調査の手順①:比較対象(競合)の洗い出し
手順として最初に行うのは、比較対象の洗い出しです。
つまり、「自分たちの競合企業、競合サービスはどこなのか?」を考えることです。
ここでは、類似サービスを取り上げるのは当然ですが、
「その企業やサービスが提供する価値」から考えていくことがポイントです。
例えば、「鉄道会社Aの競合は?」と問われたときに、「鉄道会社B」や「鉄道会社C」と応えるのは学生でもできます。
鉄道会社が提供する価値(=人や荷物を移動させること)」を考えてみると、同業以外にも
「航空会社」や「バス」、もっというと「自動車」などの移動手段も競合となりえます。
慣れが必要ではありますが、
同じ業界の中だけで考えないように、
「我々が本質的に提供しているサービス(価値)は、いったい何なのか?」
と組織内で定期的に確認するクセをつけておきたいところです。
このあたりは、以下のマーケティング関連の書籍に色々と書いてありますので興味のある方は読んでみてください。
競合調査の手順②:比較項目の洗い出し
無事に競合会社を洗い出せたあとに考えることは、比較項目です。
つまり、「何を比較項目(軸)にとれば良いのか?」を考える必要があります。
ここでは、先程述べた、「競合他社の商品・サービスの特徴」「競合が立てている戦略」「競合の強み・弱み」を評価軸にすることが多いです。
詳細については業界や業態によって異なるので、大まかに上記3点を調べると思っておけば問題ないです。
競合調査の手順③:調査・採点
そして、上記の比較項目にそって、ひたすら調査を行います。
エクセルなどの表にしておくと、調査が進めやすいと思います。
ポイントとしては、「出典元(記事やHPのURLなど)を記載しておくこと」です。
なぜなら、調査している時は記憶も明確なので、ある程度はどこで得た情報か?の見当がつくと思いますが、
1ヶ月や、1年経ったあとも、調査直後と同じように記憶が残っているでしょうか?
おそらく、大抵の方は、そこまで覚えていることは不可能だと思います。
「ここに記載されている」という出典元を記載しておくことで
あとから振り返ろうと思ったときにもスムーズに確認ができるので、
少々手間でも、結果的に少ない工数で確認することが出来ます。
競合調査の手順④:分析・検討
さて、競合の洗い出しと比較項目、それに基づいた調査が完了したあとは、分析・検討のフェーズに入ります。
コンサル業界などで頻繁に読まれている名著「イシューからはじめよ」によると、
「分析とは”比較すること”である」と述べられています。
比較することで、その差異(違い)を発見することを分析と言うらしいです。
また、例えば「バリューカーブ」という手法を用いて、特徴(軸)ごとにグラフで表現することで、
「どこが自社のオリジナリティなのか?」を直感的に把握することができるので、試してみてください。
分析に基づいて、自社と他社の違いを見つけ、
強みを伸ばし、弱みを埋めるための検討を行うと、ロジカルに戦略立案を行うことが可能です。
競合調査の手順⑤:まとめ・報告書(必要に応じて)
最後に、必要に応じて、競合調査・競合分析の結果を、調査報告書などのレポートとしてまとめます。
社内資料の場合は、ビジュアルデザイン的な”見栄え”よりも、
「客観的かつ直感的に、競合と自社の違いをまとめる」ことを意識してください。
自分の場合は、エクセルのグラフ機能を活用します。
例えば、シート1には元データ(生データ)を入れておいて、
バリューカーブなどでその集計結果をグラフで可視化して、違いをわかりやすくまとめる手法をよく用いてます。
注意点
競合調査・分析の手順について記載してきましたが、ここでも注意点があります。
1.データを集めて採点するだけ(①〜③)だけでは、調査とはいえない
2.調査、採点結果に基づいて、「何が違うのか?」「どうすべきか?」まで考えて競合調査と捉えるべき
より価値のある競合調査にするためにも、調査結果からインサイト(洞察)を見出して、
「だからどうすの?」までの案を出しましょう。
調査するだけなら誰でもできてしまいますが、その上でどうすることが自社にとって最適か?
まで検討して始めて意味のあるアウトプットになると思うので、最初はなれないかもしれませんが試してみることをオススメします。
競合調査・競合分析に使えるフレームワーク
競合サービスの調査や分析を行う際はフレームワークを活用すると俯瞰的に全体像を捉えることが可能です。
特に以下のフレームワークを活用すれば、より詳しく、多面的な競合分析をすることができます。
4P分析
3C分析
4P分析(マーケティングミックス)とは?
マーケティングとは、「適切な商品を、適切な場所に、適切な価格で、適切なタイミングで」置くこと。もう少しわかりやすく置き換えると「売れる仕組みをつくること」です。
競合分析を行う際に使えるフレームワークのひとつに「4P分析(マーケティングミックス)」と呼ばれるものがあります。
4Pとは以下の頭文字を取ったものです。
1. 製品(Product)
どのような商品/サービスを提供しているのか
2. 価格(Price)
いくらで販売しているのか
3. 場所/配置(Place)
どこでどのように販売しているのか
4. プロモーション (Promotion)
どのようにして商品/サービスを認知させているのか、どのようにして商品の魅力を訴求しているのか
上記の4つの観点から自社と競合の違いを比較していくことで、俯瞰的に全体像を把握することが可能です。
マーケティング戦略の3つのCとは?
マーケティングの戦略的概念である「3C」は、日本が誇る戦略コンサルタント大前研一氏が考案したフレームワークです。
このモデルは、以下の3つの観点から市場環境を分析し、経営戦略上の課題を導く分析ツールのひとつです。
※以下の3つの頭文字「C」を取り、3C分析と呼ばれています。
1. Customer(市場・顧客)
2. Company(自社)
3. Competitor(競合)
これらの「C」をそれぞれの観点から、自社と競合とを比較していくことで抜け漏れがない形で分析をすることが可能です。
競合調査・競合分析に使えるツールをご紹介
この章では私自身が競合調査・分析をする際によく使っているツールを使っています。
これらのツールを使うことで効率よく競合の情報を分析、調査することが出来ます。
Similar web
SimilarWebは無料でWebサイトの分析を行うことのできるマーケティングツールです。
イスラエルの企業が開発をし、世界中で広く利用されています。
検索窓に競合サービスのURLを追加するだけで、トラフィックの流入経路をおおよそ把握することが出来ます。
また、Chromeの拡張機能を使い、追加することもできるので、日常で気になるサイトを見つけたら調べてみるのもおすすめです。
Ahrefs
Ahrefsは世界中で利用されているSEO分析ツールです。
競合サイトの流入経路はもちろん、対策キーワード、検索順位まで見ることが出来ます。
また、コンテンツエクスプローラーという機能を使えば過去にSNSでバズったり、反応が良かった記事などもまとめてみることが出来ます。
メディアサービスを運営している方は必須のツールです。
Facebook オーディエンスインサイト
Facebookオーディエンスインサイトは、Facebookから、多岐にわたるさまざまな情報を提供してくれるツールです。競合相手が運営するFacebookページのフォロワーや年齢層、性別、居住地などの詳細情報を見ることができます。
競合調査・競合分析の参考書籍
さいごに、競合分析をより深く理解するためにおすすめのビジネス書を紹介します!
コメント