【書評・要約】『トラクション』スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル

事業開発・企画
『トラクション』スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル
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スタートアップや新規事業界隈で「トラクション」という言葉を最近よく耳にするようになりました。
今回読んだ「『トラクション』スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル」は、以前から新規事業の顧客ユーザーをどのように獲得していくかで詰まっていたので読みたいと思っていたのですが、なかなか手に入りませんでした。今日たまたま立ち寄った書店で販売されていたので即購入して、1日で読み切ったので、気持ちが高まっているうちに書評・要約記事にまとめておこうと思った次第です。

人気のためか書店ではなかなか販売していないのと、Amazonでも新品は高いので入手しづらいですが、中古でも販売されています。

「あなたの製品を流通させるための最適なチャネルを見つけよ」と仰っている本書ですが、Kindleなどの電子書籍という在庫に依存せずに販売量をほぼ無限に増やせるチャネルに製品を対応させていないのはどうなんだろう?という疑問は置いて、さっそく書評・要約を見ていきましょう。(本書によるとそこはリーンスタートアップ=製品開発側での対応なので、もしかするとトラクション側での対応範囲ではないのかもしれませんね)

※ps:これまでに、新規事業立ち上げやサービスづくりについて記事をまとめています。よろしければこちらもご覧ください。
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書評・感想

本記事では、この書籍の内容で、特に自分にとって気づきを得られた部分を引用しつつ、備忘録も兼ねて、書評・感想を記載していきたいと思います。スタートアップ、新規事業、マーケティングなどのキーワードに関わっている方には参考になるかもしれません。

トラクションについて

まずはトラクションの定義・意味を確認し、それから現状のトラクション獲得における課題をみていきます。
ちなみに英訳の書籍になるため定義付けの部分が、若干わかりづらく感じました。

トラクションとは

トラクションについては本書では以下のように説明されています。

  • 顧客需要を表す定量的な「証し」や「成長する兆し」であり、ビジネスにおける重要指標を計測することで明らかになるもの。
  • 「見ればわかる」ものであり、トラクションを獲得するということは、成長曲線を右肩上がりに伸ばしていくということ。

例えば、コンシューマ向けのモバイルアプリであれば、「デイリーアクティブユーザー数の著しい増加」などがトラクションにあたります。また、ビジネス向けソフトウェアであれば、「導入社数」などがトラクションにあたります。

これは自分の考えですが「トラクションとは、ビジネスの成長度合い」とも言えそうです。

トラクション獲得における課題

本書ではトラクション獲得における課題として以下の2つをあげています。

  • 多くのスタートアップが”SEM”や”PR”などの同じチャネルに集中しており、他の有望なチャネルに気づいていない
  • 最適なチャネルは経験によって予測可能だが、テスト実施するまではその時点における本当に最適なチャネルを判断することは難しい

たしかに、自分の会社内でもいくつか事業が運営されていますが、SEM、PR、SNSなどのわかりやすい(?)チャネルに集中している感じはします。逆に、airbnbがcraigslistから初期ユーザーを奪ったような施策だとか、電車広告やチラシなどのオフラインでのトラクション獲得の施策についてはあまり言及されたことが無いように感じます。自分も特定のチャネルに対して思い込みを持ってしまっている気がするので、あくまで客観的に19のチャネルを精査していく必要があると感じました。

トラクション獲得計画

次に、トラクション獲得計画の考え方についてです。
本書では、トラクション獲得チャネルを19も紹介しておりますが、それらチャネルの中から最適なチャネル(ブルズアイ)を見つける方法として「ブルズアイ・フレームワーク」というブルズアイを見つける手順についても説明があります。

トラクション獲得チャネルにおける前提

まず、トラクション獲得チャネルにおける前提として
– ほとんどの場合、その時点で最適なトラクション獲得チャネルはたった1つであり、そのチャネルを見極めてリソースと予算を集中すべきである
– トラクション獲得の手法は状況に応じて変化する。初期は有効な施策も、成長フェーズにおいては影響が少なくなったりする。

例えば、初期は競合からの顧客奪取は有効ですが、ある程度の顧客ベースができてくると、そこのトラクションチャネルからの流入による全体のユーザー数への影響度合いが低くなる。といったように成長フェーズによって最適なチャネルは常に変化します。

という前提があります。
しかしチャネルを見極めるといっても、そのチャネル数は19にも及ぶため、すべてをテストすると非常に時間がかかります。
そこで、最適なトラクション獲得チャネルを選択するための道具である「ブルズアイ・フレームワーク」が役に立ちます。

ブルズアイ・フレームワークとは

ブルズアイ・フレームワークとは以下のような手法です。

  • トラクション獲得におけるブルズアイ・フレームワークは、製品開発におけるリーン・スタートアップの手法にあたるもの

です。具体的には、リーンは「構築すべき機能」を導き出し、ブルズアイは「集中すべきトラクションチャネル」を導き出すものです。

50%ルール

トラクション獲得における重要なポイントとして、50%ルールというものをあげています。どういうことかを以下に説明します。

  • トラクション獲得の際に起業家が犯す一番の過ちは、「製品開発と並行してトラクション獲得をしない」こと。
  • 人々が望む製品を創ることと、その製品の市場性を確認することは同じぐらい重要
  • つまり、製品開発とトラクション獲得はほぼ同程度の重要性があり、均等にリソースを割り当てるべきである
  • なぜなら、事前にテストすることで製品を調整する追加開発のサイクルを前倒しできる。また、リリース前からトラクション獲得をしていればリリース直後から顧客ベースを構築できる可能性が高まる。また、プロダクトトラップ(キラープロダクトさえ作れば顧客が殺到するという幻想)といって作れば顧客が寄ってくるわけではない。

実例として、Dropboxは製品開発中にSEMのテストをして、それが役に立たないことを確認しました。
そのかわりに製品内に紹介プログラムを組み込んだことで、成功に至りました。

さいごに

簡単でしたが、以上で「『トラクション』スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル」書評・要約・感想記事は終わりとなります。

「最近、トラクションってよく聞くけどどういう概念なんだろう?」
「自社のマーケティング計画を考えたい」
といった方は参考になると思います。ぜひ手にとって読んでみてください^^

合わせて、新規事業やサービスづくりにおいて参考になった本も以下に紹介いたします。

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