事業コンセプトとは、「あなたの事業をひとことで言うと、どういう事業か?」という”事業の概念・考え方”のことを指します。
今回は、事業計画を立てる際に必須となる項目である「事業コンセプト」について、
その意味や実例、魅力的な事業コンセプトを作る方法を解説していきます。
ちなみに、自分は普段マーケティングや新規事業を担当していますが、
その時のバイブルとして何度も読み返している本である「マンガでやさしくわかる事業計画書」を参考にして説明をしていきます!
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事業コンセプトとは何か?(意味)
改めて、事業コンセプトとはなにか?
その意味や定義を確認していきましょう。
冒頭で述べた通り、
事業コンセプトとは、「あなたの事業をひとことで言うと、どういう事業か?」という”事業の概念・考え方”のことです。
魅力的な事業コンセプトは、あなたが手がける事業のターゲットや特徴、提供価値も含めて、一言で言い表すものです。
※コンセプトの意味:
1.概念。
2.企画・広告などで、全体を貫く基本的な観点・考え方。
また、理想的を言えば、事業コンセプトを聞いた人が「この事業はどういう事業なのか?」がイメージできるように、”1フレーズ(ひとこと)で”説明できるのがベストです。
ただし、そんなに簡単に作れるものでもありませんので、
まず最初は本記事の後半で説明する、5つの構成要素をベースにして作れれば良いと思います。
事業の詳細を考えたり、事業を実際に運用してPDCAする中で、徐々に事業の全体像が見えてくるケースも往々にしてあるので、まずは長くても良いので、的確に表現してきちんと伝わる事業コンセプトを作ることを目指していきましょう!
※補足
事業に限らないコンセプト(商品コンセプトなど)を策定する際には、以下の書籍も参考になります。
事業コンセプトの例
次に、事業コンセプトの実例を見て、イメージを沸かせましょう!
「事業コンセプト 例」で検索すると色々と実例がでてくるので、それらも参考にしながら事例を見ていきます。
事業コンセプトの例①:アスクル
明日届く文房具
アスクルさんの事業コンセプトは、「明日届く文房具」です。
これを聞いただけで、社名が思い浮かぶという最強のフレーズですね。
事業コンセプトの例②:吉野家
早い、安い、うまい
吉野家さんの事業コンセプトは、「早い、安い、うまい」です。
こちらも先のアスクルさんと同様、フレーズを聞いただけで、どの会社か思い浮かぶ好事例です。
事業コンセプトの例③:サウスウェスト航空
空の旅を 世界一安く
次の事例は、アメリカの航空会社であるサウスウェスト航空です。
この会社は、格安航空会社として独自の仕組みをつくって高収益率を実現している会社ですが、
顧客に取っての価値として価格訴求をしていますね。
事業コンセプトの例④:セコム
トータルセキュリティ
セコムさんの事業コンセプトは、「トータルセキュリティ」です。
こちらは、単なる警備事業だけではなく、セキュリティ(安全保障・防犯)に関することを全てやる会社です。という想いがひとことで伝わってくる良い例だと思います。
事業コンセプトの例⑤:ココナラ
知識・スキルを500円で売り買いできるマッチングサイト
ココナラさんの事業コンセプトは、スキルシェアを500円でできるという部分が特徴です。
他のサービスと異なり500円〜売り買いできるという価格訴求がうまくいっている例かと思います。
事業コンセプトの例⑥:カーシェア
複数の人で自動車を共有して維持費を下げる
次は特定の会社ではありませんが、最近シェアリングエコノミーの文脈でも語られることの多い、カーシェアリングの事業コンセプトの事例です。
他の例と比較して、若干長めのコンセプトですが、事業の価値が端的に表現されていて、カーシェアという言葉を知らない人にも伝わりそうですね。
事業コンセプトの例⑥:乗り換え案内
電車の乗り換えを マップで便利に
最後に紹介する例は、乗り換えマップです。
こちらも特定の会社ではないですが、乗り換え案内サービスの提供価値や手段が端的に伝わってくる良い事例です。
ちなみに、先ほど紹介した「マンガでやさしくわかる事業計画書」では、
酒発酵エキスたっぷり和紙マスクでつやつや美肌
という事業コンセプトの例が紹介されています。
事業コンセプトの構成要素
「コンセプトの事例を見てなんとなく理解したけど、これらって、すでにある程度大きくて有名な事業じゃないですか」
「こんな短い言葉で収めるなんて到底ムリですよ」
「実際、ぼくたちが事業コンセプトを0から考えるときってどうすればいいんですか?」
最初にお伝えしたとおり、最初から洗練された事業コンセプトを定義するのは非常に難しいです。
プロのコピーライターが担当することもあるほどなので、事業の段階に合わせて、
事業コンセプトのほうも、徐々に磨き込みをしていけば良いとぼくは思っています。
とはいえ、事業コンセプトを考えやすくなるためのフレームワークもありますので、
まずは長くても良いので、きちんと大事な要素が入っている事業コンセプトを策定してみましょう!
今回は、「マンガでやさしくわかる事業計画書」を参考に、
5つの構成要素を紹介していきます。
①顧客は誰か?
最初に考えたいのは、「顧客は誰か?」ということです。
顧客については事業コンセプトに盛り込むべきか、そうではないか、については諸説ありますが、
対象顧客に見せる場合は、不要だと思います。(そのコンセプトを見たときに、おっ、と思ってもらえば良いので)
そのサービスを使ってくれて、お金を払ってくれる人は誰なのか?
をきちんと事業コンセプトを考える時に盛り込んでおきましょう。
②商品・サービスの特徴は何か?
次に、その事業の特徴を盛り込みます。
その「商品やサービスを使うメリット」と置き換えても良いと思います。
例えば、前述の書籍では、
「酒発酵エキスを美肌に役立てる」
とされています。
③強み、独自性は何か?
先程の特徴とすこし混同しがちですが、「強み・独自性」についても事業コンセプトには必要な要素となります。
強み・独自性とは、「他社より勝っている要素」と考えるとイメージしやすいです。
また、技術やノウハウなどもそうですが、ブランドといった無形のものも強みになりえます。
例えば、前述の書籍では、
「歴史のある造り酒屋」と「地元特産の和紙」
とされています。
④儲ける仕組みは何か?
4つめに、儲ける仕組み、つまり「ビジネスモデル」を盛り込みます。
事業を継続させるためには、きちんと利益がでる仕組みを作る必要があります。
こちらは、事業コンセプト自体に盛り込むためというよりは、
ビジネスモデル・キャンバスなどのツールを使って、事業コンセプトとは別で整理しておくと良いです。
⑤提供する価値は何か?
最後に事業コンセプトの5つめの要素ですが、これが最も重要だと思います。
「顧客に提供する価値は何か?」ということで、言い換えれば「なぜ、顧客はこの商品を買ってくれるのか?」です。
モノやサービスなどの商品そのものではなく、
その商品が持っている価値に焦点を当てます。
例えば、有名な話で、
「ドリルを買う人は、ドリルが欲しいからではなく、穴が必要なのだ」
という話があります。
これは、
商品・・・ドリル
価値・・・穴があくこと
ということで、顧客にとってはドリルが重要なのではなく、穴があくかどうかが重要なのです。
ドリル以外にも穴を開ける方法があれば、顧客にとってはそちらのほうが、いい商品になるのです。
この商品ではなくて価値を売るについては、難しい概念になるので、以下の書籍を参考にしてみてください。
事業コンセプト まとめ
この記事では、
● 事業コンセプトの意味や定義
● 実際の企業のコンセプト事例
● 事業コンセプトの5つの構成要素
について、記載してきました。
本記事は一度で理解できるものでは無いと思います。
繰り返し読むなり、関連書籍を読んでみるなりして、自分なりに落とし込み、
かつ実際に作ってみることで徐々に洗練されていくはずです。