世の中にある数々のヒット商品。
そのヒット商品はどのような企画書なのか…?
担当者のどんな思いが込められ、どんな背景やプロセスを経て生まれた商品なのか…?
企画に関わるビジネスマンの方は、気になりませんか?
今回は、普段は絶対に見ることの出来ない「ヒット商品の企画書」をまとめてくれた素晴らしい本、「新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!」を読んだ内容を紹介したいと思います。
商品企画に限らず、販促企画やPRの企画書事例も載っているため、企画書づくりに悩んでいる方は是非ご覧ください!パワーポイントの使い方も会社によって多種多様で、面白い!
ちなみに本書は、企画書の書き方や構成、デザインのテンプレート等を紹介したような、いわゆるノウハウ本ではありません。あくまで実際の企画書スライドとそれを作成した背景や経緯のインタビューなどの事例を掲載し、「標準化できない、売れる企画の本質」に迫っている本です。もし、企画書の構成やテンプレートを求めている方は、別書籍をご覧頂ければと思います。
※構成やテンプレートは無いですが、巻末付録にアイデアを出すワザ、企画を伝えるワザなどのノウハウ的な情報も一部掲載されています
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売れる企画書(ヒット商品企画)づくりの前提
ヒット商品を企画した人で、「単に儲かる商品をつくりたい」と考えている人は皆無。
ヒット商品の企画者は皆、「社会に貢献したい」「会社を復活させたい」等、企画に対しての何かしらの熱い想いを持っている。
それらの熱い想いを込めて、売れる商品の企画書はつくられている。
ヒット商品企画書の事例
それでは、本書で取り上げられている企画書の事例を紹介します!本記事では自分が読んで参考になった点を要点形式で記載します。
実際の書籍には、企画書のスライドや社内宛てメールのサンプル等も掲載されており、非常に分かりやすくまとまっていましたので、より具体的に企画書を見たい方は是非本書を手にとってみて下さい。
企画書事例1:じゃがビー
まずはカルビー株式会社のヒット商品「じゃがビー」の企画及び企画書について。
・スナック菓子市場という成熟市場の中で、海外や若い女性向けという新セグメントの開拓を見出した事例。
・ユーザー像(ペルソナ)を想定し、商品コンセプトを練り上げた。
・市場が縮小している、これまで買わなかったターゲット層だから狙わない。のではなく、「なぜ買わないのか」「どうすれば買ってくれるのか」を追求して、商品企画を行った。
企画書事例2:フィットカーブ
次の企画及び企画書は、プラス株式会社のヒット商品「フィットカーブ」について。
・必至に知恵を絞ることで隠れたニーズを見つけ出し、ヒットに結びつけた事例。どんなビジネスにも意外な盲点が潜んでいる事を思い知らせてくれる事例。
・アンケート調査を分析することで盲点を見つけ、隠れた市場ニーズを満たす商品コンセプトを企画。その盲点を訴求するためにビジュアルでコンセプトが伝わるように工夫。
・たとえ成熟し切った製品分野でも、隠れたニーズを掘り起こしてヒット商品を企画することは可能であるという事を分からせてくれる事例。
企画書事例3:ウィメンズパーク
次は個人的に最も勉強になった企画及び企画書、株式会社ベネッセコーポレーションのヒット商品「ウィメンズパーク」について。
・1つの課題に対して、どうすれば解決できるのかを何ヶ月も考えて企画書にまとめた。
・事前にテストサイトを作成し、そこでのユーザーの反応、ユーザー動向などのテスト結果をもとに、本サービスのコンセプト設計や事業計画作成を行った。
・テスト結果にもとづいて開発したサービスは、ほとんどが成功した。
企画のプロセスを大まかに区切ると、「テストサイト制作」→「ユーザー反応・動向を観察及び分析」→「テスト結果を元に商品コンセプト・事業計画書作成」でしょうか。
本書に掲載されているテスト結果分析の企画書のスライドは非常に情報量が濃く、個人的にはこの商品企画プロセスが最も参考になったと思います。
企画書事例4:アクアクララ
アクアクララ株式会社のヒット商品「アクアクララ」の企画書を紹介します。本事例は一度失敗した事業を立て直した企画書づくりの事例で面白かったです。売れない商品を売れる商品に変化させたい人必見の企画書。
・一度失敗した事業を立て直すために、サービスや経営の強み、弱みをあぶり出して、企画書(中期経営計画)に落とし込んだ。
・内部環境と外部環境の分析をSWOT分析で実施。さらに、SWOT分析を受けて、CROSS SWOTで経営課題を抽出している点がスゴイ。
個人的には、SWOT分析やクロスSWOT分析はツールとして知ってはいるけど有効に使えてたか?といえばYESと言えなかった。この企画書では実際に成功した事業を立て直す際のホンモノの資料が見れたので大いに参考になりました。
企画書事例5:プラス糀
マルコメ株式会社のヒット商品「プラス糀」の企画及び企画書です。これは女性だけのプロジェクトで生まれたヒット商品とのこと。
・女性のチームらしく、女性向けで女性視点の商品コンセプトや販促POP、パッケージデザインづくりを行った。
・既存事業の資産(糀)を最大限に活かした商品を企画した。一次加工品を使うことで、コストメリット、技術メリットが大きい点を企画書に盛り込んでアピール。
・ユーザー目線の発想、高いコスト意識、自社アセットを踏まえた商品開発、デザインへのこだわりなど、様々な商品企画のポイントがつまった良事例。
企画書事例6:ピグチャンネル
株式会社サイバーエージェントのヒット商品「ピグチャンネル」の企画及び企画書の事例。この事例から学べる事は、「企画書はシンプルで十分」ということ。
スライドを装飾し、枚数を増やす必要が本当にあるのか?深く考えた上で企画書をつくるべきであるという事を学べました。
・1スライド、1メッセージ
・シンプルにした。短く伝えて済むことをわざわざ長くすると、本当に伝えたいことが伝わらなくなってしまう
・自分の企画書で何を伝えたいのか?そのために何枚のスライドが必要なのか?説明時間は何分がベストなのか?をじっくり考えて企画書をつくる
企画書事例7:ポメラ
次の企画及び企画書の事例は、株式会社キングジムのヒット商品「ポメラ」。企画書が丁寧なので非常に参考になりました。
・「複数の企画書をまとめて提案するのは、企画に自信が無い証拠だ」と上司に言われ、一番やりたいもの、一番面白いものに集中してブラッシュアップした
・企画書の導入は丁寧に、「既存商品の何が問題でどんな不満があるのか?今回の新商品ではどうして解決できるのか?」を説明することで、新商品が売れる理由を高い説得力を持って説明した
・実際に売り出される際のイメージが伝わるよう、疑似パンフレットを作成してアピール
企画書事例8:SHOT NOTE
こちらも株式会社キングジムのヒット商品「SHOT NOTE」の企画及び企画書の事例。
世の中にとって全く新しい商品を企画した事例。新商品をだすときには、それが生活や仕事にどのような変化・影響を与えるのかをイメージできるようにビジュアルで提案することが非常に重要であるということを理解させてくれる企画書でした。
・色々な人の意見が入ってもぶれないように、最初に「コンセプトシート」を作成した。コンセプトシートとは、商品コンセプトが書かれた1枚資料のこと。
・コンセプトシートだけでは伝わらず、2回目の提案時には、スマートフォンとノートの関係や、実際のイメージが湧く写真を掲載した
・利用シーンが聞き手にイメージできるように漫画のストーリーを企画書に盛り込んだ。
企画書事例9:サンシャイン水族館
次に紹介する企画及び企画書の事例は、池袋にあるレジャー施設のサンシャイン水族館。「顧客志向」が徹底されている良事例。
・とにかくお客様視点でリニューアルを企画する事を徹底した
・コンセプトを体現する仕掛けとして、スタッフから意見を募り、来場者がわくわくドキドキする仕掛けを図面に散りばめた。
・各コーナー毎に、「現状」「リニューアル方向性」「課題」に分けて、コンセプトの体現方法(わくわくどきどきポイント)を考える
・白砂を使うという顧客志向をどれだけ効率的に実現するかという、裏話も紹介されている
企画書事例10:nanapi
ヒット商品企画書として最後に紹介するのは、webサービスの「nanapi」です。nanapiは現在は他社との合併によりsupership株式会社としてKDDIグループの1企業として運営されております。そのnanapiの創立企画書を見ることができます。
・国内外の市場を分析し、日本のマーケットは「白地状態」であるが、米国では次々とハウツーサイトが立ち上がっているということを説明
・メインコンセプトとして、同社が作りたい世界観を表現。また、収益モデルも非常にシンプルな図で説明している。
・新規事業で重要な「撤退条件」を明示。
・定番のSWOT分析で自社の強みと弱みをあぶり出して冷静に分析。また、需要成功要因もSWOT分析の結果から特定している。
さいごに
上記以外のヒット商品(エアウィーヴ、むげんプチプチ、おかずラー油、カジュアルクルーズ、等)や、上記含めた各ヒット商品の実際の企画書のスライドも本書には掲載されており、自分は大変勉強になりました。
企画づくりに興味がある、今企画書作成で困っている方、もし宜しければご一読ください。
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