【Vol.2 TikTok】イケてるプロダクトを事業戦略・UX等の観点で研究

ビジネスハック
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ジュニアプロダクトマネージャーとして、「プロダクトマネージャー記事200本計画」という連載をして基本的なノウハウを学んでいます。
それと同時並行で、多数の良いサービス事例を知るという目的で、本企画である「イケてるプロダクトを事業戦略・UX等の観点で研究」の連載もしております。

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本連載では、
「優れたプロダクトを創るには、優れたプロダクトをたくさん知っていた方がよい」
という前提で、いま流行っているアプリやサービスの優れている点を観察・分析し、まとめていきたい
と思います。

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イケてるプロダクトVol2.「TikTok」

「イケてるプロダクトを事業戦略・UX等の観点で研究」の連載企画の第2弾は、
中国企業が運営するショート動画SNS(コミュニティ)アプリ「TikTok」です!

TikTokは、10代を中心とする若者を中心としてユーザーを拡大しており勢いに乗り、
1日の動画再生回数が10億回、DAUは100万を超えている急成長中のプロダクトです。

ショート動画SNSサービスの先駆者である「musical.ly」の買収も決定しており、今後統合されていく模様です。musical.lyはリリース直後に少し話題になっていたので、自分も少し使ったことがありますが、TikTokは後発ながら先駆者を買収してしまうというのは凄い成長力ですね。

サービスの概要・特徴

それでは、TikTokのサービス概要や特徴について見ていきましょう!

「TikTok」は先述のとおり、10代を中心とする若者の間で流行しているショート動画SNSアプリです。ユーザーセグメントとしては24歳以下が85%を占めるそうです。

YoutubeやTwitterで最近かなり広告が出ており、存在自体は知っている方も多いかもしれません。
自分は周りで使っているという人を聞いたことが無いのですが、2017年12月にiOSのApp Storeで総合ランキング1位になり、現在も常に1位〜3位に位置づける超成長中のアプリです。

TikTokの特徴としては他の人が上げた動画を見たり、いいね!したりコメントできる他に、良いと思った人をFollowすることができます。

また投稿したい場合は、自分の好きな曲に合わせて、動画撮影〜編集がアプリ内で簡単にできて、それを投稿すると他の人からコメントが貰えます。

サービスを一言で言うと、「ショート動画に特化したInstagram」でしょうか。
そして、価値提案(バリュープロポジション)としては、「何も考えずに見てるだけで楽しくなれるサービス」といった感じでしょうか。
ちなみに、芸能人やYoutuberの方もちょこちょこいますが、一般人がおすすめに出てくる比率は高い気がしました。

UX

TikTokを語る上で欠かせないのが、「UX(ユーザー体験)」だと思います。
洗練されたビジュアルデザインに加えて、ユーザー体験を良くするための設計がきちんとUIに実装されております

それでは具体的にTikTokのUXについて見ていきましょう!

全体的にサクサクな使用感

TikTokは、若者に受け入れられているアプリだけあって、使用感はサクサクで非常に使いやすいです。特に、画面全体に広がる縦長動画で、スクロールするとサクッと次の動画に飛べるUIが良いですね。

また、TikTokに投稿されている動画を見てみると、イケメンや美女が多いです…!
これは恐らくですが、動画投稿する時に加工する機能があるので、より美肌に写ったりカッコよく映るのも影響していると思います。

やはりイケメンや美女のほうが、より動画を見たくなるので、誰でもカッコよく、カワイくなれる加工機能はUXを良くする上で重要な位置づけなのだと思います。

会員登録のハードルが低い

もはや実装が当たり前となりつつありますが、会員登録にソーシャルログイン機能を設けることで、登録の負担を軽減している点がGOODでした。そして、TikTokは完全にSNSアカウントだけで他に入力を一切しないで登録ができたのが非常に良いポイントだと思いました。

ソーシャルログインといいつつ、結局メールアドレスを取得しようとするサービスもあるので、
そこらへんと比較しても最初のハードルが低く設計されておりGOODですね。

ちなみに、TikTokは10代中心の若者がメインターゲットなので、Facebookは目立つ位置には無かったです。「LINE」「Twitter」「Instagram」の3つが主要なSNSなのでしょうね。
※LINEによるソーシャルログインは知ってましたが、Instagramアカウントによるログインが出来るのは知らなかったです(汗)

自分の場合、普段はTwitterかFacebookで特に考えずに無意識にログインしているので、
こうしてプロダクトを観察することで新たな発見ができました。

動画投稿のハードルが低い

さて、TikTokの成長を支える上で、最も影響度の高い特徴は、「動画投稿のハードルが低いこと」であると思います。

一般の人でも動画投稿を気軽にできるシンプルなUI、かつ15秒という短い時間の動画なので、気軽に動画投稿ができる点が最大の特徴です。
このハードルの低さが、コンテンツ(投稿された動画数)を増やす一助となっているのは間違いありません。

Instagramも写真加工〜投稿をシンプルにすることで、おしゃれな写真を投稿するハードルが劇的に下がったのが功を奏したプロダクトだと思います。

TikTokでは動画撮影〜加工が凄くシンプルに実現できるので、まさに「ショート動画に特化したInstagram」と言えるかもしれません。

動画投稿に慣れていない自分も、歯磨きしながらアプリいじっているだけで、
「歯を磨く馬」と「歯を磨く犬」の2つの動画を投稿することができました(笑)

グロースハック

さて、UXの次はグロースハックの観点で見ていきましょう!
勿論、UXが良いこと自体もグロースハックに大きな影響がありますが、ここでは特に「ARRRAモデル」の観点でTikTokのグロースハックについて考えていきます。

まず、ARRAモデルとは、サービスの本質的な成長を自然と達成する施策の順番になっている、「ユーザー体験を最大化」させるためのフレームワークです。


(出典:いちばんやさしいグロースハックの教本

多くのサービスが失敗する理由の第一位が「顧客が求めていないサービスを作ってしまうこと」であると言われており、まずは「誰の・どんな課題を・どのように解決するか」を明確にした上で、ユーザー活性化(アクティベーション)を最初に達成というフレームワークです。

そして、ユーザー活性化してきたら、「どうやって継続させるか?」というリテンション(継続)の部分を考えていきます。

反応が貰いやすい!(アクティベーションの観点)

それでは、TikTokをアクティベーション(活性化)の観点で見ていきましょう!

結論から言うと、TikTokの場合は、既にActivationは実現できていると踏んでいます。
アクティブなユーザーさんのおかげで、新規ユーザーでも活性化〜定着しやすくなっていると思います。

その理由として、昨日の夜中に投稿した「歯を磨く馬」「歯を磨く犬」ですら、いいね!やコメントを貰うことができたからです(笑)

独り言にならず、きちんと他のユーザーさんから反応が貰えるのは新規ユーザーの活性化に繋がりますよね。
そして、反応が貰えると次の投稿モチベーションが湧いて、さらにサービス内の動画数が増える…といった正のスパイラルが実現できているように思います。

アクティベーションの観点からUIを見る

UIの観点からも見てみましょう!
TikTokのUI特徴としては、投稿者、閲覧者がスムーズにコミュニケーションできるUI実装になっています。

具体的には、「フォロー」「Like」「コメント」「シェア」がワンタップでできるUI実装になっています。

これによって、「良い動画!」と思った瞬間に、閲覧ユーザーはアクションを取れて、
結果として、投稿者は投稿後に反応を貰いやすく、「また投稿しよう!」となります。

「被いいね数」「被コメント数」などがマジックナンバーになっているのかもしれません。

※マネーフォワードのマジックナンバーについて考察↓
https://dont-think-act.tokyo/entry/good-product-vol1#%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%82%8B

プッシュ通知申請のタイミングは課題ありか(リテンションの観点)

次にリテンション(継続率)の観点でTikTokを見ていきましょう!
リテンション施策の大きな点である「プッシュ通知」については、もうちょっと改善の余地があるかな?と思いました。

というのも、インストール直後の何もわからない状態で以下の画面になったためです。

プッシュ通知の配信許可ウインドウは、ユーザーの初回体験中に「このサービス良い!」と思って貰えた直後に出した方が良いです。

今回のように、インストール直後にプッシュ通知の設定をするのはユーザー体験としてあまりイケてないと思います。なぜなら、このサービスが良いのか悪いのかわからない状態でプッシュ通知許可を聞かれても、OKしずらいためです。

プッシュ通知は起動回数と継続率を高めるリテンション(再訪問)の施策としてかなり影響度が大きいので、許可を貰えるタイミングには工夫が必要だと自分は考えています。

例えば、オンボーディング時のウォークスルー画面やチュートリアルの時に「通知を受け取って、好きな人の動画をすぐチェック!」等のように、通知を受け取るメリットをユーザーさんに伝えてあげる等の方法もあります。

ビジネスモデル・マネタイズ

Tik Tokのビジネスモデルを見ていきましょう。
当初は投稿者への投げ銭・チップの一部を貰うモデルかと思っていましたが、プロダクトを実際に見たところ、投げ銭機能は無さそうでした。

他の記事も参考にしながら調査してみると、現時点のメインは広告によるマネタイズのようで、現状は企業アカウントによるブランド広告が収益源となっているようです。

まあ若年層ユーザーを囲ってしまえば、その後、Eコマースや投げ銭機能、インフルエンサーマーケティングなどマネタイズの方法は色々と可能性がありそうです。

ただ、ビジネスモデルとして見たときに動画系サービスだとコスト負担が大きいと思うので、
ユニットエコノミクス(顧客1人あたりの経済性)を超えられるか?がポイントとなりそうです。

さいごに

以上で、「イケてるプロダクトを事業戦略・UX等の観点で研究」の連載企画Vol2は終了となりますが、いかがでしたか?

TikTokを使ってみて思った最大の衝撃は、「中学生とかでもめっちゃ化粧してたり、ブランド服きていること」です(笑)

大学生ですらほとんど絡む事がないのですが、スマホネイティブの10代の人たちの興味や流行を少なからずキャッチアップしておくべきだなと30手前のおじさんは感じました。あと、何か音楽に合わせて色んな楽しい動画が見れるので、ちょっと元気を貰うことができました…!

但し、Vineの事例もあるように、ユーザーを囲っても他媒体に逃げられたり、そもそも容量の大きい動画だと運用コストが半端なく高くつくとおもうので、どのようにユニットエコノミクスを達成していくのか、今後も注目していきたいプロダクトです。

ちなみに、本記事を書くにあたってインプットしている前提知識は以下の書籍などを参考にしています。






自分の中でもまだまだ本連載の内容については検証中の発展途上段階なので、
「こんな視点もほしい!」「このサービスを分析してほしい!」といった要望があれば
是非はてブコメント、Twitterなどでコメントをお寄せください。

それでは!

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